テニス初心者の方向けに、テニスの基本的なルールについて解説します。
「これからテニスを始めようと思っている」
「試合は見るけど、ポイントやルールが分からない」
細かいルールも含めると膨大なボリュームになってしまうため、本記事では「最低限の試合は成立する」「試合を観戦していて何が起きているのかが理解できる」という基本ルールについて深掘りします。
目次
テニスの基本的なルール
テニスは中央のネットを挟んで2人のプレーヤー(ダブルスの場合は2対2の4人)が1つのボールを打ち合うスポーツです。
自分の打ったボールがネットを超えて、相手コート内にバウンドすればOKです。相手コートから自分のコートに飛んでくるボールは、地面に2回バウンドするまでに打つ必要があります。
どちらかの打ったボールがネットに引っかかる、コートの枠に収まらずアウトする、飛んできたボールが2回バウンドする前に返せなかった場合、「ポイント(詳しくは後述)」となります。
「ポイント」を積み重ねることで「ゲーム」となり、「ゲーム」を重ねることで「セット」、セットを重ねることで「マッチ(試合終了)」です。
テニスコートの広さ・ネットの高さ
テニスコート1面当たりの大きさは、小学校にある25mプールよりも少し小さい程度のサイズです。
数値としてはシングルスコートがシングルスコートは8.23m × 23.77m、ダブルスコートが10.97m × 23.77mとなっており、1対1のシングルスではシングルスコートにボールが入らなければアウトとなります。
ただし、それぞれのラインにも一定の太さがあり、着弾したボールがほんの少しでもラインの上であれば「イン(入っている)」判定であり、アウトにはならずプレーを続行します。
テニスの試合(ゲーム)でのポイントの数え方
他のスポーツではスコア(得点)の数え方や状況を「カウント」と表現しますが、テニスの場合は「カウント」が少し複雑です。
アマチュアのテニスの試合では基本的に自分でスコア・カウントを覚えて進めるため、慣れるまでは大変ですがテニスを楽しむためにはしっかり覚える必要があります。
そのため、ここからはカウントで使う頻度が多い用語と数え方について解説します。
ポイント
1ポイントは、サッカーの1ゴールや野球の1点と同じです。
テニスの試合では、以下のような場合は相手に1ポイント入ります。
・自分の打ったボールが相手コートに入らなかった
・相手の打ったボールを1バウンド以内に返球できなかった
・自分の打ったサービスが2回とも入らなかった
・相手の打ったボールが自分のラケット以外(身体、衣類、靴等)に当たった
逆に、上記が相手側で起きた場合は自分が1ポイント獲得することができるということです。
テニスのポイントの数え方
テニスのポイントは「0(ラブ)・15(フィフティーン)・30(サーティ)・40(フォーティ)・ゲーム」という形で数えます。
自分と相手が同じポイントの場合は「オール」となり、「15-15(フィフティーンオール)」「30-30(サーティオール)」と表現します。
試合開始時は「0-0(ラブ・オール)」で、4ポイント獲得することで1ゲーム獲得することができるのです。
「デュース」と「アドバンテージ」
3ポイント目の「40」になれば後1ポイントで「ゲーム」を獲得できますが、カウントが「40-40」は基本的に「フォーティオール」とは言わず「deuce(デュース)」と言います。
デュースになった場合は、連続して2ポイント取らなければゲームを獲得できません。
デュースから1ポイント獲得した状態は「アドバンテージ」と表現し、サーブを打つ人が1ポイントリードした状態を「アドバンテージサーバー(サーブを打つプレーヤー)」、サーブを受ける人が1ポイントリードした状態であれば「アドバンテージレシーバー(サーブを受けるプレーヤー)」と言います。
ただしルールによってはデュースになる場合とならない場合もあるため注意が必要です。
・ノーアドバンテージ方式(「40-40」になったら1ポイント取ればゲーム獲得)
・セミアドバンテージ方式(一度だけデュース有り)
セミアドバンテージ方式の場合、一度だけ「デュース」となり、2点連続でポイントを獲得できればゲームとなります。
ただし、「アドバンテージ」の状態で2点目を相手に取られてしまった場合は「40-40」に戻り、次のポイントを獲得したプレーヤーがゲームを獲得するというルールです。
日本のアマチュアの大会では「ノーアドバンテージ方式」「セミアドバンテージ方式」が採用されている場合が多いため、覚えておきましょう。
ゲーム
前述のポイントを4点獲得する、もしくは「アドバンテージ」「40-40(ノーアドバンテージ)」の状態で1点取ることができれば「1ゲーム」となります。
基本的には、どちらかが6ゲーム獲得するまでゲーム数は積み重ねられ、6ゲーム獲得することで次に説明する「1セット」を獲得できます。
つまり、6ゲームで1セットの場合は最短24ポイント(1ゲーム4ポイント×6)で1セットが終了するということです。
ゲームの数え方
・1-0(ワンゲームトゥラブ)
・1-1(ワンゲームオール)
・2-1(トゥゲームストゥワン)
・2-2(トゥゲームスオール)
・3-2(スリーゲームストゥトゥ)
単位がゲームで、「-」を「to(トゥ)」と言います。また、2ゲーム以上の場合は「games(ゲームス)」と、複数形の表現になる点も考慮しておきましょう。
ただし、仲間内で試合したり、アマチュアのセルフジャッジ(審判がいない)でゲームカウントをコールする場合はスコア状況さえ分かれば「1-0(イチゼロ)、3-2(サンニ)」と表現しても問題ありません。
サーブの順番とチェンジコートについて
テニスの試合は、最初にサーブを打つことでポイントが始まります。サーブは1ゲームが終わるまで、同じ人が打ち続け、1ゲームが終わったタイミングで相手にサーブを打つ権利が移ります。
また、ゲームカウントが奇数になった時点でコートを入れ替える「チェンジコート」が発生します。
屋外では日差しや風の影響をサーブでも受けるため、自分のサービスゲームを確実に獲得したい場合は外的状況も考慮しなければなりません。
ゲームカウントが「5-5」になった場合
通常の試合でゲームカウントが「5-5」になった場合、2ゲーム連続でゲームを取る必要があります。
そしてゲームカウントが「7-5」もしくは「5-7」になれば1セット終了ですが、2ゲーム連続で獲得できず「6-6」になった場合「タイブレーク」に突入します。
タイブレークは7ポイント先に獲得したプレーヤーが勝利するミニゲーム形式のルールです。
通常のゲームと同様、ポイント獲得状況が「6-6」になった場合は2ポイント連続で獲得しなければ終わりません。
また、サーブの打つ順番が少し変則で、最初は1ポイント終わり次第交代し、以降は2ポイントずつ打ったら交代です。
そしてポイントが6の倍数になったら前述のチェンジコートも発生します。
・3-3
・4-2
・6-6
・9-9
上記のようにお互いのポイントの合計が6の倍数になったらチェンジコートを忘れないように行います。
ただし、大会のルール次第ではそもそもタイブレーク無しという場合もあるため、事前のルール説明はしっかり把握しておきましょう。
セット
通常、6ゲーム取れば1セットを取ることができます。
場合によっては3セットマッチ(2セット取れば勝ち)、5セットマッチ(3セット取れば勝ち)等、大会の規模やルールによって異なります。
また、前述のタイブレークはゲームカウントでは1ゲームとして換算されるため、1セットの結果としては「7-6(n)」となります。
nは相手の獲得したポイント数が反映され以下のように表記されます。
タイブレークの結果が「7-3」の場合
⇛ゲームカウント:7-6(3)
タイブレークの結果が「7-0」の場合
⇛ゲームカウント:7-6(0)
タイブレークの結果が「13-11」の場合
⇛ゲームカウント:7-6(11)
マッチ
テニスにおける「マッチ」とは1つの試合のことを指し、「1セットマッチ」であれば1セット獲得できれば勝利、「3セットマッチ」は2セット獲得できれば勝利するということです。
プロのグランドスラムの大会は「5セットマッチ」であるため、セットカウントが「2-2」になればかなり長丁場となります。
以下に主なテニスのマッチルール(勝利条件)を記載します。
6ゲーム1セットマッチ
・6ゲームで1セットが終了する
・1セット獲得できれば勝利
アマチュアの試合は基本的にこの形式で行われることが多く、場合によっては「ノーアドバンテージ(デュース無し)」、「タイブレーク無し(6ゲーム取った時点で勝利)」等の条件もあります。
また、基本は6ゲーム1セットですが大会によっては「4ゲーム1セットマッチ」「8ゲーム1セットマッチ」というルールの試合も存在します。
6ゲーム3セットマッチ
・6ゲームで1セットが終了する
・2セット獲得できれば勝利
ATPツアーの大会や大学の一定以上のステージ、日本ランキングの大会の本戦は6ゲーム3セットマッチで行われる場合が多いです。
ただし、大会によってはセットカウント「1-1」になると3セット目は10ポイント先取形式の「スーパータイブレーク」で勝敗を決することもあります。
スーパータイブレークの基本ルールは通常のタイブレークと同じで、カウントが「9-9」になれば2ポイント連続で取る必要があります。
6ゲーム5セットマッチ
・6ゲームで1セットが終了
・3セット獲得できれば勝利
プロテニスの中でも最も規模の大きな大会、「グランドスラム」の「シングルス」ではこの形式で試合が執り行われます。
アマチュアの大会で5セットマッチ形式の試合はほとんどありませんが、大学テニス界の伝統行事とも言える「早慶戦」は5セットマッチの長丁場です。
テニスの基本ショットの種類
テニスでボールを打つことを「ショット」と言いますが、どの場面でどう打つのかによって呼び方が異なります。
本記事では基本的なショットについて深掘りします。
サーブ
サーブは自分の手でボールを投げる(トスする)、投げたボールが自分のコートでバウンドする前にラケットで打ち、相手コートのサービスボックスに入れるショットです。
サービスは1ポイントで2回打つチャンスを与えられており、サービスボックスに入らなければ「フォルト」となります。そして2回失敗すると「ダブルフォルト」で1ポイント相手に入ります。
リターン(レシーブ)
リターン(レシーブ)は相手の打ったサーブを返球するショットです。
相手のサーブがサービスボックスで1バウンドしたら、2回バウンドする前に相手コートへ返球しなければなりません。
ストローク
ストロークは1バウンドしたボールを返球するショットで、ストロークの往復を「ラリー」と表現します。
自身の利き手側で打つストロークを「フォアハンドストローク」、利き手の反対側で打つストロークを「バックハンドストローク」と言います。
●右利きの場合
・身体の右側がフォアハンド、身体の左側がバックハンド
●左利きの場合
・身体の左側がフォアハンド、身体の右側がバックハンド
ボレー
相手の打ったショットをノーバウンドで返球するショットを「ボレー」と呼びます。
ボレーは基本的にネットと近い位置で打つ場面が多く、パワーのあるボールを打ったり、相手が届かないところに優しく当ててボールを落としたり、ポイントの決定打になりやすいショットです。
ボレーにも「フォア」「バック」という概念があり、考え方はストロークと同様です。
テニスをするために最低限必要なものは?
テニスの基本的なルール・ショットについて解説しました。
最後に、実際にテニスコートでテニスを楽しむために最低限必要なものについてご紹介します。
・テニスラケット
・テニスボール
・テニスウェア(運動できる格好)
・テニスシューズ
ラケットとボール、運動着は言うまでもありませんが、テニスシューズも忘れてはいけません。
テニスコートでプレーするには専用のシューズが必須です。
サンダルやスニーカーはテニスのルール・マナーとしてもNGですし、怪我をしてしまう可能性もあります。
テニスをする時は必ずテニスシューズでプレーしましょう。
テニスコートの種類
テニスコートは表面の素材によって種類が分かれており、種類の違いを「サーフェス」と呼びます。
また、前述のテニスシューズもそれぞれのサーフェス専用のモデルがあるため、奥が深いです。
基本的なテニスコートの種類は下記になります。
オムニコート
オムニコートは人工芝の上に細かい砂を敷くことで摩擦を適度に減らしたサーフェスで、日本では特に多く普及しています。
水はけが良く雨にも強いコートで管理もしやすいですが、海外ではあまり活用されていません。
ハードコート
ハードコートは世界的にも主流となっているサーフェスで、アスファルトやセメントを土台にした表面を持つテニスコートです。
オムニコートよりも飛び交うボールの体感速度が早いですが、使われている素材によって球速やバウンドは異なります。
クレーコート
クレーコートは土の上に細かい砂を敷いたサーフェスで、日本では元々クレーカートが主流でした。
クレーコートの特徴としては素材が柔らかいため足腰への負担が少なく、バウンドするボールの球速も他のサーフェスよりも遅くなるという点が挙げられます。
カーペットコート
カーペットコートは文字通りカーペットのような素材のサーフェスで、屋内のインドアテニススクールで採用されています。
屋内であるため天候の影響を受けず、身体にも優しいため快適にテニスをすることが可能です。
ただしその分、お金を払ってコートを借りる時はオムニ・クレー等と比較して料金相場は高く設定されています。
【まとめ】実際にプレーしたり観たりしながらルールを深めよう
テニスに限らず、スポーツは細かい要素も含めると本当に様々なルールがあります。
その中でもテニスはポイントの数え方が複雑だったり、聞き慣れない用語が多かったり、慣れるまでは少し大変かと思います。
ただ、テニスを楽しみながらプレーしたり、試合観戦したりすることができれば基本的なルールはすぐに覚えることができるでしょう。
あなたのテニスライフのお役に立てて頂ければ幸いです。