これからテニスを始めようと検討されている初心者の方のために、テニスラケットの選び方について解説します。
硬式テニスのラケットの価格は最新モデルの新品で25,000円以上、型落ちの新品でも20,000円程度が相場であるため、それなりの出費になります。
中古であれば10,000円を下回る場合もありますが、基本的には新品のラケットで気持ちよく使いたいところです。
「これからテニスを始めるけど、どのラケットを選べばいい?」
「まずは身の丈にあった性能のラケットでテニスを始めたい」
そんな方は必見です。
目次
それぞれのテニスラケットの違いについて
まず、適切なラケットを選ぶためにはテニスラケットがどのような要素で構成されるのかを把握することが大切です。それぞれのテニスラケットはカラーリングやデザインだけでなく、様々な違いがあります。
テニスラケットは主に以下の要素で商品毎に異なり、それぞれが使い手に合うかどうかも変わってきます。
・メーカー(製造会社)
・フレームウェイト(重さ)
・フェイスサイズ(面の大きさ)
・フレーム厚(厚さ)
・ストリングパターン(ガットの網目の細かさ)
・グリップサイズ(ラケットを握る部分のサイズ)
・ウェイトバランス(重心の位置)
上記の要素の違いによって、ボールの飛ばしやすさ、ラケットの振り抜きの良さ、回転のかけやすさ等に影響します。
また、ラケットを製造するメーカー毎にもそれぞれ特徴がある点も考慮するべきポイントです。
それぞれの要素について具体的に見てみましょう。
テニスラケットのメーカーについて
テニスラケットは様々なメーカー(制作会社)によって作られており、主なメーカーとしてはBabolat(バボラ)、HEAD(ヘッド)、YONEX(ヨネックス)、Wilson(ウィルソン)、Prince(プリンス)等が挙げられます。
数値的には全く同じラケットであっても、メーカーによってデザインや性能、特徴も異なり、プレーヤーの好みも別れます。テニスを始めてからボールを打つことに慣れてから、自分に合ったメーカーのラケットを見極めましょう。
テニスラケットは試打(借りて実際に打ってみて試す)することが可能であるため、新しいラケットを選ぶ際には実際に打って感覚等を確かめてみることをおすすめします。
代表的なテニスラケットのメーカーについて知りたい方は、テニスラケットの主要メーカー一覧【それぞれの特徴についても合わせて解説】もご参照ください。
適切なフレームウェイトのラケットを選ぶには?
テニスラケットは重いラケットであるほど、強く攻撃的なショットが打ちやすいです。
テニスラケットの具体的な重量としては、270〜320gが一般的で、一見僅かな違いに見えても使い勝手は大きく変わります。
一方で重さが軽いラケットは動作が楽になり動きやすく、咄嗟のボールに対して対応しやすかったり、ネットプレーがしやすくなる等の利点が挙げられます。
重いラケットはこんな人におすすめ
・体力及び腕力に自信がある人
・基本的なショットを一通り打てる上級者
・攻撃的なボールを打ちたいストローカー
一般的に男性の場合は320g以上、女性の場合は300g以上のラケットは重い部類に入るかと思います。
軽いラケットはこんな人におすすめ
・とにかく楽にボールを飛ばしたい人
・スライスやネットプレーを主体にしたい人
・まずはボールを当てる感覚を磨きたい初心者
男性の場合300g以下、女性の場合280g以下の重さのラケットであれば比較的扱いやすいです。
初心者はどれぐらいの重さを選ぶべき?
ラケットの平均的な重さとしては男性だと300g、女性は280g程度です。ただし、初心者の場合はまずラケットにボールを当てる感覚を身につける必要があります。
そのため、初心者が選ぶべきフレームウェイトは平均値、もしくは平均より少し軽めのラケットを選んだ方が無難です。
テニスラケットの重さについて詳しく知りたい方は、テニスラケットの重さとショットの関係性について【最適な重さのラケットを選ぼう】もご参照ください。
適切なフェイスサイズのラケットを選ぶには?
ラケットのフェイスサイズが小さい場合、空気抵抗が小さくなるため振り抜きやすく、力強いボールを打ちやすいです。ただし、面積が小さい分、安定してボールをクリーンヒットさせるためには一定の練習量が要求されます。
フェイスサイズの大きいラケットはボールをラケットの真ん中に当てやすく、小さいラケットよりも簡単に飛ばすことができます。一方で面積が大きい分パワーも分散されるため、強くて重いボールを打つことが難しいです。
そのため、ラケットのフェイス面は自身の技術やフィジカル、どんなテニスを目指すかに合わせて選ぶべきだといえます。
大きいラケットはこんな人におすすめ
・テニス初心者〜初中級者
・とにかく楽にボールを飛ばしたい人
・スライスやネットプレーを多用したい人
一般的にフェイスサイズの中央値は100インチであり、100インチよりも面が広いラケットは大きいラケットといえるでしょう。
小さいラケットはこんな人におすすめ
・腕力に自信があり、ハードヒットしたい人
・ショットの質を高めたい上級者レベルの人
安定してラケットの真ん中に当てることができる技術レベルであれば、小さいラケットを使うことでショットのコントロール性能を高めることができます。
一般的な小さいラケットのフェイスサイズは98インチ〜93インチ程度です。
初心者はどれぐらいのフェイスサイズを選ぶべき?
ラケットのフェイスサイズは100インチが中央値であるため、基本的には100〜105インチのサイズを選ぶことをおすすめします。
安定して面の真ん中にボールを当てられるようになったら、徐々にフェイスサイズの小さいモデルにシフトしてみてはいかがでしょうか。
テニスラケットのフェイスサイズについて詳しく知りたい方は、テニスラケットのフェイスサイズについて【面の大きさで何がどう変わるのかを解説】もご参照ください。
適切なフレーム厚のラケットを選ぶには?
フレームの厚いラケットは反発性に優れており、楽にボールを飛ばすことができます。しかし、反発性が強いが故にショットの細かいコントロールが難しいというデメリットもあります。
フレームの薄いラケットは反発性が弱いため厚いラケットよりも飛びが悪いですが、しっかり振り切ることができればスピードボールも打てますし、ショットのコントロールも可能です。
厚いラケットはこんな人におすすめ
・初心者〜初中級者
・とにかく楽にボールを飛ばしたい人
腕力に自信がない方やシニア層は厚いラケットを使っているケースが多いです。身体に優しく、テニスを楽しみたいという思考であれば厚いラケットがベターかと思います。
薄いラケットはこんな人におすすめ
・力強く重いボールを打ちたい人
・しっかり振り切ってコントロールしたい人
フレームが薄いラケットはフレームウェイトも重いモデルが多いです。
そのため、一定以上の技術レベルの上級者は基本的に薄いラケットを使う傾向があります。
初心者はどれぐらいの厚さを選ぶべき?
テニスラケットのフレームの厚さは21〜27mmが一般的で、23〜26mmのモデルが多いです。初心者の場合、21mmの薄いラケットは上級者向けのモデルが多いためおすすめしません。
まずは黄金スペックと呼ばれる23〜26mmのラケットを使ってみて、場合に応じて厚さも考えてみましょう。
テニスラケットのフレーム厚について詳しく知りたい方は、テニスラケットのフレーム厚について【ショットにどう影響するのかを解説】もご参照ください。
適切なストリングパターンのラケットを選ぶには?
ストリングの網目が荒い(マス数が少ない)ラケットは打感が柔らかく、楽にボールを飛ばすことができます。ただし、楽に飛ばせる分細かいコントロールは難しいです。
網目が細かい(マス数が多い)ラケットは打感が硬くなり、ボールを飛ばすために力が必要ですがショットのコントロール性能に優れています。
自分が好ましい感じる打感やどんなショットを打ちたいかによって適切なストリングパターンは異なるため、試行錯誤をしながら最適なストリングパターンを見つけましょう。
ストリングパターンが細かいラケットはこんな人におすすめ
・硬い打感が好きな人
・ショットのコントロール性を磨きたい人
打感が硬いラケットは使い手のパワーも要求されますが、扱えるようになれば精度が高く重いボールを打てるようになります。
ストリングパターンが荒いラケットはこんな人におすすめ
・楽にボールを飛ばしたい人
・ラケットの真ん中に当てる感覚を磨きたい人
ストリングパターンが荒いと反発性が高まり、簡単にボールを飛ばすことができます。また、打感が柔らかいと手への負担も少なく、身体にも優しいです。
初心者はどのストリングパターンを選ぶべき?
ラケットのストリングパターンは「縦16×横19」が最も一般的なパターンです。
初心者の場合は打感の好みや目指すべきテニスの方向性を決めるのも難しいため、まずはオーソドックスなパターンを選びましょう。
テニスに慣れて好みの打感等も明確になってきたら、別のストリングパターンを試してみて最適なパターンを見つけてみてください。
ストリングパターンについて詳しく知りたい方は、テニスラケットのストリングパターンの違い【何がどう変わるのかを解説】もご参照ください。
適切なグリップサイズを選ぶには?
テニスラケットのグリップサイズは、「自分の手の平のサイズに合うかどうか」を基準に選びましょう。
グリップサイズは「1」〜「4」までの数字で分かれており、数字が大きいほど太くなります。
手が小さい人は「1」か「2」を、手が大きい人は「3」以上のサイズを選ぶケースが多いです。また、ラケットのメーカーによっては同じ「1」でも微妙にサイズが異なるため、実際に握って確かめることをおすすめします。
適切なウェイトバランスのラケットを選ぶには?
ウェイトバランスとは、テニスラケットの重心の位置です。重心がどこにあるかによって、同じラケットでも扱いが異なります。
基本的にバランスポイント(重心の位置)は以下の3パターンです。
・トップヘビー(ラケットヘッド)
・ミッドバランス(ラケットの中央)
・グリップヘビー(グリップ)
重心がラケットヘッドに近いと、スイングが加速しやすく振り抜きも良くなります。一方で重心がグリップに近いと、手元が軽くなり、ラケットの操作性が向上します。
ラケットの中央に重心があるミッドバランスはその中間で、程よい振り抜きと操作性を両立させやすいです。
トップヘビーのラケットはこんな人におすすめ
・腕力に自信があり、スイングスピードを上げたい人
・ストロークを主軸に展開したい人
トップヘビーはグリップヘビー(トップライト)と比較してラケットが重く感じやすいため、ボールを飛ばすためには使い手の腕力も要求されます。
そのため、力強く重いボールをガンガン打ちたいストローカー志向の方はトップヘビーがおすすめです。
グリップヘビーのラケットはこんな人におすすめ
・腕力に自信がなく、楽にボールを飛ばしたい人
・ネットプレーを主軸にしたい人
グリップヘビーは同じ重さのラケットでもトップヘビーよりラケットを軽く感じやすく、操作性が増します。
そのため、素早い対応が求められるネットプレーを積極的にしたい方や、力を使わず楽にボールを飛ばしたい方はグリップヘビーが適していると言えるでしょう。
初心者はどのウェイトバランスがおすすめ?
テニス初心者の場合、重心がラケットの中央に位置するミッドバランスを選びましょう。
ラケットのウェイトバランスは非常に繊細な要素で、初心者ではバランスポイントの違いを感じることも難しいかと思います。
初めはミッドバランスのラケットを選び、ボールを打つことに慣れてきたら自身の志向等に合うバランスポイントを考えてみましょう。
また、テニスラケットのバランスポイントは「鉛テープ」を使って後から調整することも可能です。
【まとめ】ラケットの選びの本質は「自分のスペック・感覚に合うかどうか」
テニス初心者は、以下のポイントを意識してテニスラケットを選びましょう。
・扱いやすいフレームウェイト(重さ)かどうか
・手の平に合ったグリップサイズかどうか
・しっかり振り切れる腕力があるかどうか
ストリングパターンやフレーム厚、バランスポイントはかなり細かい要素であるため、初心者であればあまり深く考える必要はありません。
ラケット選びの本質は「自分の技術レベル、身体能力、感覚に合うかどうか」ということです。
ぜひ、今後のラケット選びの参考にしていただけますと幸いです。
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