今回はテニスの「ハンドアクセラレーション」という技術について実践した体験も踏まえて解説したいと思います。
このハンドアクセラレーションは手首を使うことで回転量とスピードを両立させたショットを実現できるとされており、世界的なテニスコーチ、パトリック・ムラトグルーさんが提唱した技術理論です。
ムラトグルーさんはこれまで数多くの選手を世界ランキング100位内に送り込んでいる実績を持ち、マルコス・バグダティスをはじめセリーナ・ウィリアムズ、グリゴール・ディミトロフ、ホルガー・ルーネ等、名だたる選手のコーチを務めており、テニスコーチとしての腕前は疑うまでもないでしょう。
そんなムラトグルーさんが教える「ハンドアクセラレーション」とはどのような技術なのか?
「質の高いストロークやサーブを打てるようになりたい」
「今よりもテニスを上達させたい」
「様々なアドバイスを実践しているが上手くいかず悩んでいる」
上記に該当する方はぜひ最後まで読んでみてください。
目次
テニスにおけるハンドアクセラレーションとは?
ハンドアクセラレーションとは英語であり「Hand Acceleration」、つまり「手を加速させる」ということです。
ムラトグルーさんは「テニスでは手首こそが全てのボスである」と語っており、手を最大限加速させるために手首を極限までリラックスさせてスイングすることを大切にしています。
これはトッププロに限らず、ご自身が代表を務めるテニスアカデミーでは一般の方にも同じように教えていることからレベル問わずに実践できる技術だと言えるでしょう。
手の加速のために、関節を最大限緩めてスイングすることがハンドアクセラレーションです。
ハンドアクセラレーションはボールにスピンをかけるために重要となる
ムラトグルーさん曰く、このハンドアクセラレーションはボールにスピードを与えるためではなく、回転を与えるために使う技術だそうです。手の動きを最大限加速させることでボールの威力を高めつつ、強い回転でコートに収めることができると考えています。
ムラトグルーさんのレッスンを受けている生徒の方は、ショットの質が高まったと同時にミスは増えたが、練習することでミスも減らせるという感触の方もいたり、初心者レベルの一般プレーヤーでも安定してボールをコートに入れることができているようです。
単純な力加減でボールをコントロールするのではなく、スピンをかけてコントロールするように意識することで質の高いボールを安定して打ち続けることができるようになるとのこと。
ハンドアクセラレーション実践のコツは?
手の動きを最大限加速させてボールにスピンをかけるために、以下の3つのコツを意識してボールを打ってみましょう。
手首を緩めて背屈も掌屈もさせないようにする
手首を緩めて、背屈も掌屈もさせず、力がかからない最も自然な状態を維持したままボールを打つようにします。手首に力が入っているとスイングもスムーズさを欠いて最後まで振り切れなかったり、きれいに当てることが難しくなります。
ざっくりいうと「脱力」と表現することもできますが、「手首の関節に負荷がかからない・余計な力が入らないようにする」ということがポイントです。そうすることでハンドアクセラレーションによる加速を最大化させることができます。
フォロースルーで利き腕の肩を前に持ってくるイメージを持つ
右利きであれば、インパクト後のフォロースルーで右肩が左肩を追い越して前に出てフィニッシュするような形です。この形を作ることによってボールをより長くせるようになり、回転はしっかりかかりつつ、威力の高いボールを打つことができます。
ハンドアクセラレーションを上手く取り入れることができても、薄く当て過ぎるとショットの威力はなかなか出せません。手は加速させつつも、ほんの少しだけボールを押し出すように意識してみましょう。
フォロースルーは大きくしよう
前述の「ボールを押し出す」ということにも繋がりますが、手首はリラックスさせつつフォロースルーを大きくすることでボールも自然と押し出される形になり、回転と威力の両立したショットを打ちやすくなります。
「手を加速させること」に集中しすぎると、インパクト後にすぐ手首を返してフォロースルーが小さくなり、ショットが浅くなってしまうため、フォロースルーは大きくするように意識しましょう。フォロースルーが大きければ、前述のように右肩が前に出て終わるような形になるかと思います。
ハンドアクセラレーション実践時の注意点
手の動きを加速させることで、確かにショットの回転と威力を両立させることは可能です。ただし、実践してみると場合によってはイージーミスが増えたり、インパクトが安定しなくなってしまう可能性があると感じました。
そうならないために、ハンドアクセラレーションを実践するときの注意点についてもまとめましたので確認してみましょう。
手首をこねないように注意する
ムラトグルーさんは、ラケットを「シュッ」と振るように手の動きを加速させつつもボールを押す感覚も大切だと語っています。ただし、手を加速させることに集中しすぎると、手首をこねて打ってしまう可能性もあると感じました。
インパクト後に手首を返す動きを加速させようとすると、まさに手首をこねてしまいボールを押せず、インパクトが安定しなかったりボールが浅くなったりする危険性があります。そのため、手首を緩めつつも決して背屈・掌屈させ過ぎたりはしないように注意しましょう。
ミスを減らすためには練習量が必要
当然ですが、ハンドアクセラレーションを実践しても慣れないうちはミスが増える場合もあるため、安定させるためには一定以上の練習量が必要になります。実践した途端にミスが激変してショットの質が上がる魔法のメソッドではありません。
厚い当たりの良いショットを打てる時もあれば、しっかり当たらずボールが飛ばない時もあるでしょう。ハンドアクセラレーションを習得してテニスをレベルアップさせるためには、途中で諦めずにショットが安定するまで意識し続けることが大切です。
ハンドアクセラレーションを意識して良いショットが打てたのなら挑戦する価値は有!
ハンドアクセラレーションを意識したことで回転と威力の両立したナイスショットを打つことができたのであれば、初めはミスが増えたとしても安定するまで取り組み続ける価値はあると思います。
ムラトグルーさんがトッププロから一般のテニス初心者にまでハンドアクセラレーションが重要であると教えているということは、レベルを問わず誰でも習得できる再現性も備えていると言えるでしょう。
ムラトグルーさんのSNSではご自身のテニスアカデミーでの練習風景を定期的に発信しているので、お時間のあるときに覗いてみてはいかがでしょうか。今のテニスを変えるためのヒントを見つけることができるかもしれません。