テニスのフォアハンドストロークが上達しない根本的な原因について解説します。
フォアハンドストロークはテニスにおいて最も打つ機会が多い基本的なショットですが、バックハンドストロークと比較してミスが多く安定性に欠けていたり、苦手意識を持っているプレーヤーは一定数いらっしゃるのではないでしょうか。
実際、トッププレーヤーの多くは隙があれば回り込みフォアハンドを多用する例が多いのに対し、一般プレーヤーではフォアハンドが苦手なあまり、バックハンドに回り込む例も少なからず見かけます。
「練習しているのにフォアハンドが安定・上達しない」
「良いショットを打てる時もあるが、安定しない日が多い」
「威力と安定性を両立させたフォアハンドを手に入れたい」
フォアハンドストロークが思うように上達せず伸び悩んでいる方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
フォアハンドストロークが上達しない根本的な原因3選
フォアハンドが上達しない理由はその人のプレーや打ち方・フォーム等によって様々ですが、根本的な原因としてはある程度は共通している場合が多いです。
まず、これから紹介する原因が当てはまっているかをチェックしてみましょう。
素振りと同じように打っていない
フォアハンドが上達しない方で、素振り練習でラケットを振る時のフォームと、実際にコートでボールを打つ時のフォームのギャップが大きいケースが非常に多いです。具体例として、以下のようなパターンが挙げられます。
・素振りでは前足に体重を乗せて振っているが、コートで打つ時は後ろ体重になっている
・素振りではリラックスして滑らかに振っているが、コートで打つ時は力んでヘッドが落ちていない
・素振りでは左手を上手く使っているが、コートで打つ時は左手が仕事をしていない
・そもそも、素振りの時と実際に打つ時のグリップの握り方が違う
基本的に素振り練習は最も力が入りやすく、ショットの威力と安定性を両立させた打ち方を身につけるために実践するかと思います。実際のところ、理想としてはコートでボールを打つ時も、より多くの機会で素振りと同じような動きでボールを打つことが望ましいです。
もちろん、相手の打ったボールが厳しいコースで走らされたり、体勢を崩した状態で素振り通りに打つことは難しいですが、問題は球出しや壁打ち、ウォームアップのラリー等、基礎練習を行う場面です。
・どこに飛んでくるかはある程度分かっている
・過度に早いボールは飛んでこない
・飛んでくるボールもリズムがある程度一定である
上記のような条件下であれば、素振りと同じように打つことはそこまで難しくはないかと思います。ですが、実際にボールを打つ時には素振りでのフォームを忘れてしまったかのような打ち方で打ってしまうわけです。
自分の中のイメージと実際の動きには、大なり小なりギャップが生じます。素振りの時と実際に打つ時の打ち方・フォームの乖離がどれだけあるのかを動画撮影等でチェックしてみたり、練習仲間やコーチ等に見てもらったりすることで、まずは素振り通りに打てていないことを自覚することが第一歩です。
色々考えながらボールを打とうとしている【雑念が多い】
端的に表現すると、「フォアハンドを打つ時に色々と余計なことを考え過ぎている」ということです。
フォアハンドストロークは利き腕を使った片手打ちが主流ですが、両手打ちのショット比較して良くも悪くも腕の自由度が高くなります。腕が自由になりやすい分、フォームがブレやすかったり、色々と意識できるポイントも多かったり、雑念が増えすぎてタイミングが合わずに振り遅れたり、打点が安定せず上達していないかもしれません。
ストロークを安定させるために最も重要なのは打点です。どのようなフォームであっても、最終的に正確な打点でボールを捉えることさえできればボールは飛びます。
そして、正確な打点でボールを捉える続けるためには様々なボールに対してタイミングを合わせる必要があります。「タイミングを合わせる」ということは頭で考えるのではなく感覚で行うものであるため、雑念は少ないに越したことはありません。
素振りではなく実際にボールを打つ時には、飛んでくるボールのリズムを考慮してタイミングを合わせる必要があります。ゆっくり飛んでくるのであれば余裕を持って構えて前足に多重を乗せたり、速いボールが飛んでくるのであれば素早くラケットをセットして構えたり、飛んでくるボールによって細かい動作等は変化します。
そのため、1球1球変化するボールに対して打ち方やフォームについて考え過ぎてしまうと基本的にタイミングは合わず、偶然タイミングが合えば良いショットが打てても再現性を高めることができず、いつまでもフォアハンドストロークの精度は安定しません。
腕だけでスイングしようする傾向が強い
フォアハンドが安定せずミスが多い技術的な原因として、「腕だけでスイングしようとする傾向が強い」ということです。一般的には「手打ち」と呼ばれる状態で、フォアハンドが安定しない・ミスが多い人は「手打ち」になっている場合が多いと言えます。
手打ちになってしまう選手は、腕への意識が強く、無意識に力が入りやすいです。腕だけでラケットを振ろうとするとラケットの面の向きが不安定になり、インパクト時に面の真ん中に当たらずミスショットになったり、相手コートに返せたとしてもボールにパワーが伝わらない弱いボールになったりします。
また、テイクバックやスイングの軌道、打点等は相手の打ったボールがどのような軌道で飛んでくるのか等によっても変化するものです。1球1球変化するボールに対して、インパクトの面が不安定な腕だけのラケット操作でタイミングを合わせ続けるのは至難の業だと言えるでしょう。
殻を破れ!フォアハンドが上達しない根本的な問題を改善する具体的なポイント
フォアハンドが安定・上達しない根本的な問題改善するために、3つのポイントを具体的に解説します。フォアハンドをレベルアップさせたい方は内容を確認したうえで次回の練習時にぜひ一度意識してみてください。
再現性の高い打ち方を身につけて、素振りとコートでの打ち方を一致させる
現在はテニスラケットの性能が昔よりも進化しているため、多くのラケットは一生懸命力を込めて振らなくてもしっかりフェイス面の真ん中に当たればボールは飛びます。
つまり、最も力を入れやすく、ボールがコートに入るための打点を作りやすい動き・フォームが再現性の高い打ち方ということです。
自分が一番力が入りやすい打点を素振り等でも試してみて、その形を作るために必要な動きを素振りで練習して、球出しや壁打ち等の基礎練習で実際にボール打つ時も同じように打つことを意識してみましょう。
具体的には、以下のようなステップでボールを打つ練習をしてみるのも効果的です。
①サービスボックス内の小さなエリアで最小限の動きでボールを飛ばす
②徐々に距離を離してボールの飛距離を上げていく
③少しずつ前後左右にラリーを展開、力感やタイミングを合わせる
まずはサービスボックス内でのミニラリーから始めましょう。ミニラリーであれば大きなテイクバック等も不要で、必要最低限の動きだけでラケットにボールを当てればOKです。
ネットを越えなければ力を入れるタイミングが間違っていたり、当てたボールがサービスボックスに収まらなければ力を入れ過ぎていたり、ミニラリーの中で安定してコートに入れ続けられる力感や打点、動きを見極めましょう。
その後、徐々に距離を離したり動きをつけることで、構えを大きくしたり力の入れ具合を変えてみたりしながら、安定してボールをコートに入れ続ける練習をしてみてください。最初はボールのスピードは追及せず、ゆっくりでもコートに入れることを優先して練習しましょう。
こうした練習を積み重ねることで、試合等でも安定してコートに入れることができる打ち方を身につけることができるかと思います。
ラリーや試合等では打ち方について考え過ぎず、タイミングを合わせることに集中する
前述の練習で一定はボールが安定するフォアハンドの打ち方や感覚を掴むことができれば、ラリー練習や試合等では1球1球、適切な打点でボールをとらえることができるようにタイミングを合わせることに集中するようにしましょう。
特に試合の序盤では多くの選手が緊張しますし、練習通りに打てなくなるものです。そうした場面で打ち方について細かく考えるのではなく、タイミングを合わせることに集中することでイージーミスも減りますし、感覚も良くなります。
ショットの感覚が良くなってくれば、自信を持ってラケットを振れるようにもなり、ラリーや試合での主導権を握りやすくなるでしょう。ラリーや試合は相手と行うものですから、自分の打ち方やフォームについて考えるのではなく、相手のプレーやショットに意識を向けて、タイミングを合わせるようにしましょう。
フォアハンドを打つ時に利き腕を意識しないようにする
フォアハンドの「手打ち」を改善するために、あえて「利き腕を意識しないようにする」という方法も効果的です。利き腕に意識が集中すると腕全体に力が入り過ぎて、ボールに力が伝わらなかったり、タイミングを合わせることも難しくなったりしてしまいます。
・相手が打つボールとのタイミングを合わせることに集中する
・左腕を使ってボールとの距離感を調整する
・適切な打点で打てるように足を動かす
上記のように、しっかり自分の打ちやすい打点でボールをとらえることができるために、利き腕以外の要素に意識を向けてみましょう。自分が打ちやすい打点で打つことができれば、結果的に手打ちも改善されてボールにもしっかり力が伝わっているかと思います。
あらかじめ一番打ちやすい打点を自分の中でもしっかり自覚し、タイミングを合わせることができれば利き腕のことは一切考えることなく良いショットを打つことができるでしょう。
【まとめ】フォアハンドが上達せず伸び悩んでいるなら基礎から見直してみよう
フォアハンドを上達させるためには、前提としてゆっくりでも安定的にボールをコートに入れ続けることができる再現性の高い打ち方を身につける必要があります。
現在はラケットの性能も進化しており、多少当たり損なったり腕だけの操作によるスイングでも幸か不幸か、多少は良いボールが打ててしまう場合もあります。しかし、日によってミスが多かったりする場合は基本的な打ち方等に問題がある可能性が高いです。
フォアハンドの精度が日によって差異が大きかったり、普段からミスが多く安定しない方は、自分の打ち方について「再現性が高いかどうか」という観点で見直してみてはいかがでしょうか。